わたしって、 だれ? (競作)

なにかになりきるということは
自分をわすれるということです。
小学4年生の女の子ふたりの競作(きょうさく)です。
まずティアラをつけた王女さまからごしょうかい。
むなもとをごらんください。
シンプルで調和のとれた美しいドレスです。

王女さまのいらっしゃるところですから
金色と銀色をつかって品格のある空間をつくりだしました。

こちらはそれとは反対にあでやかなきものすがた。
えりもとにかさねた色が
なんとも個性的。

流れるようなやわらかな線で、
和(ジャパニーズ)のイメージを全面におしだしました。

絵のなかに入りこんでしまうと
いっしゅん、自分が絵のなかの人物であるかのような
さっかくにおちいります。
わたしって、だれ?

もちろんあなたは王女さまです。
なによりもそれをよくあらわしているのが
この絵ではありませんか。
うすいピンクのほかは
はでな色をおさえ、
背景に夜の色をもってきました。
そのせいで金色と銀色がよりきれいにみえます。
ながい髪は
こしのあたりまであるのでしょう。

金色のじゅうたん。
ひだりのほうをほんのすこしだけ
さげてえがいていますが、
じょうぎで引いたような直線にしなかったところに
この作者らしいこまやかな感性を
みることができます。

富士山に花ふぶき。
きものは左右で色のちがうあでやかさ。
おびに、おびひも。
わたしたちが知っている日本以上に
日本的なものを強調した絵です。
あえて外国人ふうなものの見方で、
あたらしい美をみつけようとする。
こんな方法をジャパネスクといったりします。
ところであなたって、だれ?
こう聞かれるのを待っているのかもしれません。
おもしろいものをつくりだしたい。
そうした創作力が
ふつふつとたぎっているような
作品になりました。

少年少女世界の美術館より 司馬遼太郎
少年や少女たちが、
その年齢のときから美しいものにあこがれ、
何が美しく、何が嫌悪すべきものであるかを身につけなければ、
きっと醜悪なものの中で
平然としている人生を送るにちがいない。
美の訓練は、
智恵のできた大人になってからでは遅いらしい。

ふたつの作品をならべてごしょうかいすることで、
発想や表現のちがいから
個性がよりはっきりとみえてきました。
かのじょたちの個性は
大きな世界にはばたくための
強力な武器になることはまちがいありません。

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