星条旗をバックにしたアメリカンヒーロー

テンガロンハットをかぶったこの人物は保安官です。
星条旗をバックにして
アメリカンヒーローがならびました。
作者は小学6年生の男の子。油絵。

かれらはじつは木彫りの人形です。
その人形にどんなふうにいのちを吹きこむか。
ヒーローたちの孤独なたたかいが
息づかいとして感じられるような絵にしたい。
深いしわもかれらにとっては
自分だけが知るひそかな勲章(くんしょう)なのだ。

ヒーローたちの心意気が油絵独特の
ちから強い表現をひきだしてくれました。
筆のタッチをいかした
油絵だからこそできる描法です。

もうひとりご紹介したい人物がいます。
美しい羽かざりをつけた
インディアンの酋長(しゅうちょう)です。
ヒーローのなかにはヒーロー(英雄)もいるが
アンチヒーロー(反英雄)もいる。
そんなところにもアメリカという国の
おもしろさがあります。

星条旗はそんなかれらをひとつにむすびつける
とても大きな役割をはたしています。
知的好奇心のある作者なので
一枚の絵をえがくことで歴史や文化まで
はばひろく知識をひろげました。

司馬遼太郎さんは
『少年少女世界の美術館』のなかで
子どもたちのためにこんな文章を寄せています。
少年や少女たちが、
その年齢のときから美しいものにあこがれ、
何が美しく、何が嫌悪すべきものであるかを身につけなければ、
きっと醜悪なものの中で
平然としている人生を送るにちがいない。
美の訓練は、
智恵のできた大人になってからでは遅いらしい。

好奇心と想像力があれば
一枚の絵からでも
子どもたちの世界は大きくひろがります。
それをおもしろいと思える感性をそだててあげたい。
美しいと同時に、たくましい力量(りきりょう)をみせてくれた
とてもいいい作品になりました。

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