ピンクのシクラメン

まず先に秘密を明かしてしまいましょう。

この縦じまの敷物。色の順番も、濃淡二つの色があわさった色目も
正確に描いていますが、
ある一点だけは大胆に変えています。
どこだと思いますか。



答えは、縞と縞との間隔。
じっさいはもっとずっと狭いんですが、それをこんなふうに広げて描いていて、
これがなかなかいい効果をあげています。

この縞の模様、何かを想像させませんか? 
画面から少し目を離すとよくわかります。



横断歩道? 

          ピン・ポーン


でも、どうして、という前に、
車のなかから横断歩道を見たところを想像してみてください。

縞みたいな同じパターンがつづくと、
人間の脳は飽きてしまってせっかちに先へ先へと進みたがります。
ところが同型反復のパターンのなかに、べつの対象が置かれたり、混ざったりすると、
なんだこの障害物は、と視線が素早くそこにジャンプします。

あっ、信号がもうすぐ赤になるというのに、
横断歩道を渡りはじめた人がいる。
あっちのあの自転車はよろよろしている。
おや、小さな子どもがなんでひとりでいるの・・・

横断歩道のペンキの模様は、
運転手の注意力を喚起しやすいようになっているんですね。

そしてそれと同じことが、この絵の縦じまでも起こっています。
作者(小学二年)は直感的にそういうおもしろさをつかまえてきました。



デコイは羽の模様もしっかりと写実的に描写。
焦げ茶色がピンクを引き立て、絵の全体にめりはりが出る。
そういうことがよくわかっています。

シクラメンは、桜の花のかたまりみたいなピンク色に陰影をつけて
素描ふうなタッチ。
水彩の透明感、すばやい線の動き。
この肩の力の抜きかげんがいいんですね。
デザイン性の高い縦じまとも、これでよくなじんでくれます。



背景はピンクと水色で二分されていますが、注目したいのは左上のピンク色。

一般的に視線は左上から右下へ流れやすい。
横断歩道みたいな縦じまを背景にすると、動きが加速され、
背景のピンクからシクラメンのピンクへ、
さらに右下のデコイへと斜めにさっとおりてきます。

   ピンク → ピンク→ 焦げ茶

作者のつくった動線が見る人をひきこんで、また、

   ピンク→ ピンク→ 焦げ茶

ピンクの占有率はそんなに高くないのに、
ピンク色がとても多いような印象をあたえるのはそのせい。



明るい色合いをお洒落にくみあわせ、それをさりげなく差しだしているところが
この作者の持ち味。
横断歩道なんてヘンなたとえをあげましたが、
この絵の美しさ、かわいらしさはびくともしませんから、
作者はどうぞご安心を。

たぶんこの絵を見た人はみんな、ピンク・ピンク・焦げ茶、
なんて頭のなかでつぶやきながら、
春の窓辺を思いだしてくれることでしょう。

第57回日本ジュニア展入選作
 (油彩)

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