南の海

白く光っているあのあたりがめざす海岸。
そこまでまっすぐにのびた広い道路。
作者は小学校5年生の女の子。油彩。

夜の高速道路のテールランプみたいに
さまざまな光の粒子が道路の上に跡(あと)を残しています。
じょうぎで引いたような道路は
いかにも車社会らしいアメリカ的な風景です。

かがやきはじめた空。
金粉をふりまいたような鳥の影。

朝陽をあびたヤシの木。


この道をこのまま進んでいけば
またあの懐かしい景色にたどりつける。

作者はこれまでにも
ハワイの楽しい思い出を絵にし、
日本ジュニア展では特賞をいただきました。
でも今回はもっと飛躍した発想と油絵らしい表現で挑戦。
サーフィンもシュノーケルもヨットも白い波もありません。
でもそれを楽しんだときの感動が、
絵の原動力になっていることは確かです。




馬遼太郎さんは
『少年少女世界の美術館』のなかで
子どもたちのためにこんな文章を寄せています。
少年や少女たちが、
その年齢のときから美しいものにあこがれ、
何が美しく、何が嫌悪すべきものであるかを身につけなければ、
きっと醜悪なものの中で
平然としている人生を送るにちがいない。
美の訓練は、
智恵のできた大人になってからでは遅いらしい。

このまままっすぐに進めば楽しいことが待っている。
そこにあるのがハワイの海でなくても
そんな予感をもてることじたいが、
すてきなことです。
色彩のエネルギーを感じさせる
とても迫力のある絵になりました。

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