春の花と人形

最初に目にはいってくるのは、
かわいらしい水玉です。
春の花のイメージがこの水玉にも反映しています。
まずは軽快でかわいらしいリズムでおでむかえ、
といったところでしょうか。

水玉から春の花、そして人形へと
視線を動かすたびに出会う、小さなかわいらしさ。
作者は小学5年生の女の子。油彩。

キャンバスの半分をしめる大きなかびんと春の花。
そのかたわらにふたつの人形を
ちょこんとおいています。

この大と小のとりあわせが絶妙!
ふたつの人形は、満開の花をつけた大木の
花の影のなかにおかれているかのよう。
人形は土でできていて、
南米ふうの民俗衣装を着ています。
それを女の子らしい観察眼と油絵的な手法で
とてもうまく表現しています。

司馬遼太郎さんは
『少年少女世界の美術館』のなかで
子どもたちのためにこんな文章を寄せています。
少年や少女たちが、
その年齢のときから美しいものにあこがれ、
何が美しく、何が嫌悪すべきものであるかを身につけなければ、
きっと醜悪なものの中で
平然としている人生を送るにちがいない。
美の訓練は、
智恵のできた大人になってからでは遅いらしい。

アトリエで何回にもわけて描く油絵は、
それを描いていないときでも
あの部分はこんな色にしてみたい・・・などと想像することで、
作品に対する愛情が深まったりします。
そうした愛情のかけかたを
日本語では「はぐくむ」などといったりしますが、
そんなやさしい気持ちが、
この絵ぜんたいにいきわたり、
とても感じのいい
かわいらしい絵になりました。

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