風の見える風景

それをなんと呼びましょうか。
背中あわせに白と灰色で塗りわけられた、この、ぬーぼーとしたもの。



この部分だけ、絵の具を使わず、
鉛筆で微妙に影をつけるように描いています。
このぬーぼーとしたものは、背景よりもぐっと手前にあるように見えます。

二色に塗りわけられた色のせいで、
背景の右側が、左側にくらべて暗く見えますが、
実際にはそれほどちがいはありません。



そういう錯覚を見る人にあたえる、こ・い・つ。
ぬーぼーとしていながら、存在感はとても大きい。

作者は中学一年生の男子。

なにかに似ているようで似ていない。
似ていないようで似ている。

〇〇みたい、と言われるようなものを描くのは
それほどむずかしくはありません。
ところが〇〇みたいと言われないようなものを描くのは、
ことのほかむずかしい。

作者の造形感覚がすばらしくシャープで、個性的なことがわかります。


左右対称に置かれた鳥のような形をしたもの。

なんとなく鳥のように見えますが、
鳥ではないのかもしれません。

ぬーぼーとしたものに対応させた白と黒。


作者が絵のなかに仕込んだ、寓意(アレゴリー)や
物語なのかもしれません。

たとえば、白と黒との対決。
善と悪。
人間世界の、陽のあたる場所と陽の当たらない場所。

この絵には風が吹いています。
風が生まれるためにはふたつの、せめぎあう力が必要。

ひとつは、背景の色のあつかいにみるようなデザイン的な感性。
もうひとつは、寓意(アレゴリー)や物語性といった文学的な感性。



二つのせめぎあいが、絵のなかに風をおこしています。
なんと若々しく、チャレンジ精神に満ちていることか。
風の見える風景です。


第58回 日本ジュニア展 入選


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