えがおのおひなさま

フフフでも、へへへでもありません。
この笑いはハハハです。
笑っているおひなさまって
とってもチャーミング。
作者は小学5年生の女の子。油彩。
たしかにこの顔をみていると
つい、つられて、笑ってしまいそう。

油絵なので何週間もかかりました。
今日はここまでと筆をおいて、
それじゃあまたね、とあいさつして帰る。
次にアトリエにきたとき
顔が笑っていなかったらどうしよう。
でもそんなことは一度もありませんでした。

笑いには、苦笑い(にがわらい)や
薄笑い(うすわらい)といった
こまったわらいもあります。
でもこのおひなさまの笑いには、
そんなものをけとばすような
明るい、おおらかさがあります。
作者は自分のなかにそれをみつけ、
絵に投影したのでしょう。

こまかいところまで
しっかりえがきわけました。




毎年のひなまつりには、
ぜひこの絵をかざって、
おひなさまと再会してください。
この絵のなかのような
おおらかな笑いで一年をすごしました。
そう思えなかったら
この絵をえがいたころの自分を
思い出してみましょう。

少年少女世界の美術館より 司馬遼太郎
少年や少女たちが、
その年齢のときから美しいものにあこがれ、
何が美しく、何が嫌悪すべきものであるかを身につけなければ、
きっと醜悪なものの中で
平然としている人生を送るにちがいない。
美の訓練は、
智恵のできた大人になってからでは遅いらしい。

油絵は時間がかかりますが、
その時間のなかで
自分が知らなかった自分を発見することがあります。
この明るくておおらかな笑顔は
作者自身のなかにあったもの。
それをおひなさまが気づかせてくれました。
思わずその笑いにこたえたくなるような
とても楽しい絵になりました。

ランキングに参加しています。
クリックで応援をお願いいたします。

にほんブログ村
スポンサーサイト