ヒノキをえがく

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名前だけはよく知っているが、
実物は映像でしか見たことがない。

都会にすんでいると
そういうことになりかねません。

今回のモチーフはヒノキ。

「大人のアトリエ」より水彩画のご紹介です。

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絵画ではボタニカルアートという
植物画の分野があります。

その植物の特徴をとらえ、
どんな植物なのか見るひとにぱっとわかるような
写実的なえがきかたで人気があります。

でもそうではない描きかたがあってもいいのでは?
たとえば・・・。

作者がもってきたのはヒノキの小枝でした。

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まんなかあたりの葉が重なりあったところに、
わかりにくいかもしれませんが
実が数個ついています。

この枝を平面におくと
右のほうがねじれるようにうきあがります。

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押し花のような平面ではありません。

このねじれこそ、
この小枝の生育の歴史。

右がわに影がつくように照明をあて
それを強調しています。

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しげりあった色の濃い緑と、
光をあびて育った枝先のあかるい緑。

このびみょうな色あいを
先入観を排し、
いかにこまかく描き分けるか。

完成するまでには
思っていた以上に時間がかかりました。

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アトリエに来ている小学生にみせても
ヒノキという名前はでてきませんでした。

ただ台風なんかのあとに公園にいくと
よくこんな枝がおちているとか。

だったら思わずひろってみたくなるような、
そんな実在感を
少なくとも絵のなかでは表現したい。

ひとつのチャレンジです。

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見ているだけで鼻の奥がむずむずしてきて、
は、は、はぁくしょーん。

花粉症が誘発された・・というのは
ジョークですが、

ほめことばとしてそういってみたくなるような、
ちからのみなぎった
とてもいい作品になりました。

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バリ島の木彫りのカエルのおきもの

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ある日には数平方センチしか
すすまないこともあって、
完成するまでに
1年3ヶ月という時間がかかりました。

今回は大人のアトリエからの
鉛筆画のご紹介です。

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バリ島では
神の使いといわれているカエル。
 
ライティングで
微妙な影の美しさを演出し、
ミリ単位でえがいています。

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手にした棒の上には
まるで日時計みたいな円盤。

ストーン・ペイブメント・パターン(市松模様)になっていて
その影が楕円となって
顔の一部にかかっています。

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二匹のカエルは神の身辺を護衛する兵士のように
大きな目であたりを見まわしています。

表情には呪術でもつかいそうな
あやしい雰囲気が・・・。

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カエルたちは
ひょうきんに歌いおどり、
あるいは神の怒りをつたえる。

ときに神は
瓶のふたをあけるように毒牙をばらまき、
人の幸せにくさびを打ち込む。

そのすべてを見つくしてきた
目、目、目。

写真とちがって絵では
正確さが幻影感をうみだすことがあります。


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いま彼らはじっとしていますが、
目をはなした瞬間、
さっとかさをもちかえているかもしれません。


背景の何もえがかれていない部分にも
やわらかい影を入れ
全体のトーンを整えました。


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これに集中してとりかかっていた時間は
決して失われたのではありません。

引き出しのなかの小物のように、ある瞬間、
当時の記憶をひきつれて
なまなましく作者の手のなかに
よみがえってくることでしょう。

とてもすばらしい作品になりました。

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秋の木の実をえがく

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ボタニカルアートの正確さに
日本画のテイストをくわえました。

大人のアトリエからのご紹介です。

ミツバアケビはつる性の落葉木で、
長い枝の先に小さな葉を3枚ずつつけます。

秋には
茎の部分が茶褐色に木質化。

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左右に大きくひろがったつるは
とても丈夫なので
カゴの材料としてもつかわれるとか。

どれひとつとしておなじ形のない葉ですが、
葉脈までをうっすらと
浮きあがらせるようにえがきわけました。

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実の
ひとつは熟して
裂けた実からタネがのぞいています。

そのまわりの白い部分は食べると甘いそうですが、
都会にすむわれわれは、
味覚ではなく視覚だけで秋のむらさきを
楽しむことになりそうです。

水彩独得の
透明感あるあかるいむらさき。

このむらさきが
この絵ぜんたいをみごとにひきたててくれました。

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おなじ秋の実でも、
赤紫といってもいい実もあります。

ヨウシュヤマゴボウという名前からわかるように
帰化植物。


白、グリーン、黒と変化した実が
赤い茎にぶらさかっています。

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でも帰化植物という先入観のせいか、
絵のモチーフとしてみるとき
日本的感覚のこまやかさを表現しずらそうです。

その点、こちらの作品では、
作者自身あまり意識していなかった
日本画的な感性が、
あけびという植物によってうまく引き出されました。

やはりアケビの「秋のむらさき」に
軍配があがりそうです。

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西洋のアンティーク人形

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西洋のアンティーク人形には
日本人形にはない独特の表情があります。

鉛筆画に淡い彩色。
「大人のアトリエ」よりご紹介。

金髪をまんなかよりやや左でわけ、
後頭部には木の実を枝ごとたばねた
髪かざりをしています。

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ハイライトをおでこのいちばん上、
髪のはえぎわにもってきました。

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目のなかの瞳孔は
ほんの1ミリくらい左に寄っています。

わたしとむきあっているが
わたしを凝視しているのではない。

このあたりに
わたしたちにはわからない
人形の作り手の苦心があるのかもしれません。

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人形はどこまでいっても人形。

それを見るひとに強く印象ずけるのは
そで口からちらっと見える手。

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そして、
ひとであったらありえない
靴の置かれかた。

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この人形は子どもたちが
自分の身近において愛玩するような人形ではない。
そんなメッセージがつたわってきます。

三重にした首飾り。

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かさなりあった布の質感や
陰影のおもしろさ。

ミリ単位でえがいていくとき、
無音の空間にいるような
ふしぎな感覚にであうことがあります。

それもまたこうした絵をえがくときの
たのしみのひとつです。

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鉛筆画ならではの
美しさや楽しさが伝わってくる
愛すべき作品になりました。

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四季の草花

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名前は知らなくても
どこかで出会ったことがある。
見たことがある。

今回は「大人のアトリエ」から
そんな野の花や実をえがいた作品をご紹介します。

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摘んだことがある。なつかしいなぁ。

多くの人がそんな経験をおもちでしょう。
四つ葉だったときのうれしさ。

   この花は「見つける」がもっとも正しい求めかた。
そう言い切ってもいいような気がします。

都会にすんでいると
花屋でしか手にはいらないものがほとんどですが、
ときどきおやっと思うようなものがならんでいたりします。

これなどもそのひとつ、
生け花の素材や画材用だそうです。

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実だけではなく
動きのあるツルと葉にも人気があります。

この絵でもそれを的確にとらえています。

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でも花屋なら何でも売っているわけではありません。

この花など清楚な美しさがあるのに
店頭には出てきません。
ネーミングのせいでしょうか。

でもいちどでも手でふれたことがあれば
だれもが納得することでしょう。

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目線の低い小さな子どものほうが先にみつけてしまう。
そんな草花もあります。

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どうしてこんなにねじれているの?
だれでもがふと口にしたくなる疑問。

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どうして父と子ではないのか、
そんなことをいってもはじまりません。

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たしかにチチコグサでは発音がしにくい。

草の花の名前には
その植物にふさわしい
むかしの人々の思いがこもっています。


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この絵では左はしと右はしの植物が
はみだしてとぎれています。
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左右の端を切り取ってそのままならべてみました。

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まるで一対の掛け軸のよう。

ここからわかるのは
空間に対するアプローチが日本画的であること。

奥ゆきではなく平面。
省略することの美しさ。

作者は押し花をするときのようなやさしさで
ひとつひとつの植物をていねいに
えがきわけました。

ミツバアケビ・ドクダミ・ネジバナ・ハハコグサ・シロツメグサ
ヘビイチゴ・ヤブヘビイチゴ・ハコベ・スイバ・ヤマゴボウ


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懐かしいものに出会えた。
そう感じていただけたら
作者もえがいたかいがあります。

忘れていたものを思い出させてくれるおだやかで
とてもいい作品になりました。

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