雨の日の玄関

570-2871-DSCF0851-01.jpg

赤い靴ひものついたお気に入りの
白いスニーカー。

このおきかた(ちらばしかた)にするまで
何回もやりなおしをくりかえしました。

作者は中学1年生の女の子。油絵です。

500-2871-DSCF0851-01.jpg

それだと「ただいまー」ではなく、
「ごめんくださーい」のぬぎかたにみえてしまう。

かけこみ乗車で、
靴がぬげてしまったみたい。とびすぎ。

やっとなっとくのいくおきかたを発見しました。

500-a-0-best-00-F0830.jpg

スニーカー、かさたて、かさ、長靴、サンダル・・。

ここからわかるのは
スニーカーでもだいじょうぶなていどの
そんな空もようです。

だからいったでしょ。ながぐつにしなさいって。

わかったー。それより、おなかすいたー。

ブルーのながぐつは
スニーカーにくらべるとちょっとちいさめなので
妹か弟のものでしょう。

かさ立てのいっぽんはこの作者のもの。
もういっぽんは
おかあさんのものかもしれません。

311-2871-DSCF0851-01.jpg

右側には靴箱があります。

その上にかざってある
小さな額らしきもの。

400-0-best-00-F0830.jpg

目を近づけていくと・・。

400-569-0-best-00-F0830.jpg

馬のようにもみえるし、ワンちゃんのようにもみえる。

いつもみんなの目にふれるところにおかれている。
ということは
家族にとって大切なもの。

あるいはパパの趣味の、
パパだけのとくべつなコーナー。

こんなところにも住宅展示場にはない、
家族の風景があります。

玄関までの距離を感じさせるように
カーペットでじょうずに遠近感をつくりだしました。

500-yyy-0-best-00-F0830.jpg

少年少女世界の美術館より 司馬遼太郎

少年や少女たちが、
その年齢のときから美しいものにあこがれ、
何が美しく、何が嫌悪すべきものであるかを身につけなければ、
きっと醜悪なものの中で
平然としている人生を送るにちがいない。

美の訓練は、
智恵のできた大人になってからでは遅いらしい。


180-200-400-0-DSCF0831.jpg

家族にとって玄関は
関所のようなものです。

そこを通らなければ外とはつながれない。

玄関の風景は
そと(社会)とうち(家族)を
その家族独特のかたちでうつしだしています。

目のつけどころがおもしろく、
油絵でしかだせない色彩のうつくしさで、

絵をみる人の想像力に挑戦するような
おもしろい作品になりました。

570-zzz-0-DSCF0831.jpg

二つのランキングに参加しています。
クリックで応援をお願いいたします。

にほんブログ村 美術ブログ 美術教室・学習へ
にほんブログ村


170-200-nnkai無題


スポンサーサイト



テーマ : 絵画教室・制作日誌
ジャンル : 学問・文化・芸術

月の光とフクロウ

570-438-000タイトルなし


耳をすませてください。
かすかに何か聞こえてきませんか。

あれは月の光がしたたり落ちる音です。

ぇっ、ほんとうですか。

フクロウのわたしがいうのだから確かです。

作者は中学3年生の女子。油絵。

455-z-a-0020.jpg

月のひかりが一滴、水のおもてに落ちる。

水の輪ができるが、
また、もとにもどる。

この音を聞きたければ、
あなたは静けさを表現する必要があります。

フクロウのアドバイスに、
作者は敏感に反応しました。

500-190-z-a-0020.jpg

絵のハイライト(もっとも明るい部分)を
フクロウのひたいのところにもってきたのも、
そのひとつです。

月の光はながれるように
フクロウの体をすべりおち、

それまで平板だった体が、
立体的に立ち上がってきました。
350-00z-a-0020.jpg

厚くもりあがった絵の具の存在も、
この絵のしずけさを支えているのでしょう。

480-550-571-000-z-a-0020.jpg

よけいなものをそぎ落とし、
フクロウのかたちを抽象化していく。

すると神秘的なふんいきが、
絵のなかにひろがりました。


150-200-05-z-a-0020.jpg 150-1_200-01-z-a-0020.jpg
150-200-06-z-a-0020.jpg 150-200-02-z-a-000020.jpg

司馬遼太郎 少年少女世界の美術館より

少年や少女たちが、
その年齢のときから美しいものにあこがれ、
何が美しく、何が嫌悪すべきものであるかを身につけなければ、
きっと醜悪なものの中で
平然としている人生を送るにちがいない。

美の訓練は、
智恵のできた大人になってからでは遅いらしい。


100-150-z-a-0020.jpg
   
フクロウのこの目は、
いったい何をみているのでしょう。

フクロウの視線はわたしではなく、
どこか遠くをみているかのよう。

それはわたしであり、
わたしではないもの。
たましいのようなものかもしれません。

神秘的なふしぎさを感じさせる、
ユニークで、
とてもおもしろい作品になりました。

481-zzz-600-00a-01.jpg

二つのランキングに参加しています。
クリックで応援をお願いいたします。

にほんブログ村 美術ブログ 美術教室・学習へ
にほんブログ村


170-200-nnkai無題

テーマ : 絵画教室・制作日誌
ジャンル : 学問・文化・芸術

うちの玄関

 550-aaa-1543018134.jpg 

ただいまあー、

そのあとにつづくのは、おなかがすいたー、かもしれません。
おそかったじゃないの、とこたえる声かもしれません。

どちらにしてもこの絵からは
あかるい家族のやりとりがつたわってきます。

作者は中学1年生。女の子。油彩。


450-972914.jpg


靴の置きかたひとつをとっても動きがあって、
家族のだれかのものであることを
さりげなく、じょうずにつたえています。


350-1543066552.jpg 


これまでにもこの作者は
「おばあちゃんちのキッチン」や「うちの居間」で
人物はえがかなくても
家族の体温や声を感じさせる絵をえがいてきました。

今回の絵もその延長線上にありますが、
色彩がいちだんと明るく、ダイナミックになりました。

そのきっかけになったのがクリームイエローにブルーという
玄関口にしかれたこのマット。

img_1543064774.jpg 

このあざやかな配色が、
さまざまなところに影響をあたえています。

カラフルでかわいらしい傘や傘たてをごらんください。

380-46111.jpg


このマットのとなりにどの部分をもってきても
違和感なく、
きれいに調和します。

このマットはこの絵の影の主役、
といってもいいかもしれません。

img_1543046783.jpg img_1543047155.jpg
img_1543050618.jpg img_1543050218.jpg


  司馬遼太郎さんは
『少年少女世界の美術館』のなかで
子どもたちのためにこんな文章を寄せています。


少年や少女たちが、
その年齢のときから美しいものにあこがれ、
何が美しく、何が嫌悪すべきものであるかを身につけなければ、
きっと醜悪なものの中で
平然としている人生を送るにちがいない。
美の訓練は、
智恵のできた大人になってからでは遅いらしい。


img_1543048145.jpg img_1543047247.jpg
 

うちの玄関は入ってきただけで緊張する。
これではこまります。

うちの玄関は入ってきただけでなんだかほっとする。

それがどんなにすばらしいことなのかを
明るい色彩にたくして表現しました。


この作品は65回日本ジュニア展に入選しました。


550-new6736.jpg

ランキングに参加しています。
クリックで応援をお願いいたします。


にほんブログ村

ホームページへもどうぞ。

アトリエ10美術研究所0

テーマ : 絵画教室・制作日誌
ジャンル : 学問・文化・芸術

初春のだるまさん

お正月の縁起物のだるまさんです。

作者は中学一年生の女子。
油絵。

new_blog_import_5245f117bcd24.jpg


 じつはもうひとつ仕掛けがあって、
サンタクロースのような帽子をかぶっていて、
さらによくみると
あれっ、
小さなクリスマスツリーがちょこんと・・・。


new_DSCF9885.jpg


日本の古いことわざに、
「お盆とお正月がいっしょに来たような」
というのがあります。
 
むかしはお盆とお正月が
うれしいこと、いそがしいことの二大イベントだったんですね。

いまの子どもたちにとっては
クリスマスもお正月もたのしい年中行事。

そんなにはなれていないのだから
いっしょに楽しんでしまえば・・・、
と考えたのかどうかはわかりません。





手足があります。
ということは、このだるまさんはサンタクロースをかねている?

だるまとサンタクロースをくっつけて
ダルマクロースと名前をつけてみたくなりました。





たぶんこの作者は
だるまの顔をこれほどじっくりながめたことなど
これまでにはなかったし、
これからだってそうあるとは思えません。





それだけに迫力満点。

だるまといえば、
「だるまさんがころんだ」という遊びのびのほうが、
こどもたちにはよく知られています。





鬼になった人がふり返ったとき、
ストップモーションで動きをとめなければならないというあの遊び。

ひょっとするとこのだるまは、
「だるまさんころんだ」をしているだるまさん?

骨太のユーモア感覚にあふれた
個性的な絵になりました。

ランキングに参加しています。
クリックで応援をお願いいたします。

にほんブログ村 美術ブログ 美術教室・学習へ

ホームページへもどうぞ。

アトリエ10美術研究所0

テーマ : 絵画教室・制作日誌
ジャンル : 学問・文化・芸術

オルゴールの夢

0-550-2016_05250007.jpg


お見せしたいのは
こちらの人形なんですけれども。

こんなふうにオルゴールになっていて・・・、
♪ ♪ ~ ♪♪ ♪ ♪

まあ、かわいらしい。

磁器独特のガラス質の光沢を
白い絵の具を厚くかさねることで表現しました。

作者は中学生の女子。
油絵です。


0-doll-0006.jpg


オルゴールの夢がつれていってくれたのは
時代と国境をこえ、
バッハやモーツァルトの活躍した
18世紀のヨーローパ。

二人の服装からそんなことがわかります。

若者は人形を、
彼女は空間の一点を見つめ、
ふたりとも感情を秘めたまま、
相手の視線を感じているかのよう。


0-0-fff5.jpg


オルゴールを聴くためには
晩餐会でもひらけそうなテーブルのむこうとこちら側、
などという大きな空間は必要ありません。

部屋のコーナーを背景にもってくることで
絵が立体的になり、
いごこちのよさそうな雰囲気が
つたわってきます。


0-0-0-0008.jpg


音楽があれば、
たとえ話題がとぎれても・・・。

ヨーローパの映画にでも出てきそうな一場面です。

絵が完成するまで
作者の頭のなかでは
オルゴールのかわいらしいメロディーが
なりつづけていました。


0-0-0-50027.jpg


司馬遼太郎さんは
『少年少女世界の美術館』のなかで
子どもたちのためにこんな文章を寄せています。

少年や少女たちが、
その年齢のときから美しいものにあこがれ、
何が美しく、何が嫌悪すべきものであるかを身につけなければ、
きっと醜悪なものの中で
平然としている人生を送るにちがいない。
美の訓練は、
智恵のできた大人になってからでは遅いらしい。



0-0-reee8.jpg


人物や人形の色彩をシンプルでやわらかくすることで、
音楽のながれている空間を
演出しています。

絵では音楽そのものを表現することはできませんが、
それをよろこびとする感情を描くことはできます。

作者のあたまのなかには
すでにつづきのシーンが用意してあるのでは。

そんなことを思わせてくれる
すてきな絵になりました。


0-550-2016_05250007.jpg


ランキングに参加しています。
クリックで応援をお願いいたします。

にほんブログ村 美術ブログ 美術教室・学習へ

ホームページへもどうぞ。

アトリエ10美術研究所0

テーマ : 絵画教室・制作日誌
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール
アトリエ10美術研究所

アトリエ10

Author:アトリエ10

幼稚園生・小学生・
中学生などが対象の
こども美術塾です。

東京都文京区

最新の記事
アトリエ10美術研究所 ホームページ
アトリエ10 こうさくの夏
ヒノキをえがく
夜の海とまひるの公園
くだものがいっぱい (競作)
わたしって、 だれ? (競作)
スイーツになりきりキャラ、やってみました!
アトリエ10 ご案内
作品アルバム 2
10秒ごとにかわります。
作品アルバム 1
10秒ごとにかわります
カレンダー
05 | 2023/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
ランキングに参加。よろしかったらクリックをおねがいします!
ブログ村のランキングに参加しています。 クリックをしていただくとはげみになります。      ↓
カテゴリ
ブログ村に参加しています
人気ブログランキング
絵画.美術教室 検索
検索フォーム
QRコード
QR